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レビー小体認知症とは

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■レビー小体認知症とは?

レビー小体型認知症は、アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症に次いで発症頻度が高い認知症の一つです。この疾患は、脳の神経細胞内にαシヌクレインと呼ばれるたんぱく質が異常に蓄積し、それにより神経細胞が失われることで発症します。特に、大脳皮質や脳幹といった部位にたまりやすく、脳幹が運動機能を司る部分であることから、手の震えなどパーキンソン症状が現れることもあるとされています。

 

レビー小体型認知症の初期症状は?

認知症といえば認知機能の低下を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、レビー小体型認知症では初期段階で認知機能の低下があまり目立たないとされています。

初期症状としては便秘や嗅覚の異常が代表的で、その後、立ちくらみ、認知機能の低下、幻視、パーキンソン症状といった認知症特有の症状が現れることが一般的です。初期の段階では、周囲の方から「理解力や判断力が少し落ちた」「元気がない」といった軽微な変化に見えることが多いですが、進行に伴い、認知機能の低下やその他の特徴的な症状が明らかになることがあります。

また、レビー小体型認知症に特徴的な認知機能低下、幻視、パーキンソン症状には、以下のような特徴があります。

 

認知機能の低下

時間や場所、日によって頭がすっきりしているときとぼんやりしているときが交互に現れます。理解力や判断力が安定しないことが特徴です

 

幻視

実際には存在しないものが、あたかもそこにあるように見える状態です。例えば、人形が女の子に見えるといった、別のものと見間違える場合もあります。

 

パーキンソン症状

手足がこわばり、歩行が困難になることがあります。また、手の震えや前かがみの姿勢など、運動に関する症状も見られます。

 

■そもそも「レビー小体」とは何か?

レビー小体とは、神経細胞内に形成されるたんぱく質のかたまりを指します。これは脳だけでなく、全身のさまざまな神経細胞に生じ、神経細胞を損傷させるとされています。

大脳皮質に生じるとレビー小体型認知症を、脳幹に生じるとパーキンソン病を、さらに全身の自律神経細胞に生じると慢性便秘症などの症状を引き起こすとさられています。

 

レビー小体型認知症に前兆はある?

レビー小体型認知症の前兆の症状として、レム睡眠行動障害が挙げられます。レム睡眠行動障害は、睡眠中に体を大きく動かしたり、悪夢を見てうなされて大声を出すといった症状が現れます。また、隣で寝ている家族を蹴ってしまうことがあるほか、家に引きこもるようになる、気分の落ち込みが続くなど、うつ症状が見られる場合もあります。

 

■レビー小体型認知症の検査・診断

レビー小体型認知症の特徴として、他の認知症と異なり脳の萎縮があまり顕著ではありません。そのため、MRICTなどの画像検査で診断を確定することは難しい場合が多いです。しかし、神経心理学検査やパーキンソン症状がある場合には、MIBG心筋シンチグラフィーで特異的な所見が得られることがあります。また、幻視、パーキンソン症状、レム睡眠行動障害などについて患者さんやご家族から詳細にお話を伺うことが、診断を行う上で重要になってきます。

 

レビー小体型認知症の進行速度は?

レビー小体型認知症は、アルツハイマー型認知症に比べて進行速度が早いとされています。

 

レビー小体型認知症の生存率は?

レビー小体型認知症とアルツハイマー型認知症の生存率を比較した研究によれば、レビー小体型認知症の方が生存期間が著しく短いという結果が報告されています。そのため、進行を遅らせ、健康寿命を延ばす治療法が期待されています。

 

■レビー小体型認知症の治療方法

現時点では、レビー小体型認知症そのものを根本的に治療する方法は見つかっていません。そのため、患者さんの症状に応じた薬物療法が主な治療となります。

認知機能の低下や幻視に対しては、アルツハイマー型認知症の治療にも用いられるアセチルコリンを増やす薬や抗精神病薬を使用します。また、パーキンソン症状に対しては、パーキンソン病の治療で使用される抗パーキンソン病薬『レボドパ』などが処方されます。ただし、抗パーキンソン病薬の中には精神症状を悪化させる可能性のあるものもあるため、専門医による慎重な処方が必要となります。

 

監修:こころとからだのケアクリニック人形町  院長 益子 雅笛(ますこ みやび)